【織田信長】 漫画やゲームにみる織田信長。その存在は『善』か『悪』か!!
【織田信長】 漫画やゲームにみる織田信長。その存在は『善』か『悪』か!!
どんなに歴史に興味のない人間でも織田信長だけは知っています。
歴史に興味のない兄ちゃんでも織田信長の名前を聞くと、
※ 画像はwikipediaより
『カッコいい……!!』
目をキラキラと輝かせるのです。
説明不要ですが、信長は乱世の戦国時代を終わらせた英雄です。
でも、私は思うんです。
信長っていい人だったのか……?
ひょっとしてすごい悪い奴だったんじゃないの?
歴史愛好家の皆様には石を投げられるような発言かもしれません。
そもそも時は戦国。世は乱世。
殺さなければ殺される世の中。
親兄弟でさえ殺されるかもしれないのです。
騙まし討ちなど日常茶飯事。
『いい人』では生きていけるわけがないのです。
そんな信長ですが……。
信長の悪行とは……。
1571年、信長は反抗的な態度をとっていた比叡山延暦寺に兵を差し向ける。
当時の比叡山はただの寺ではなく、一大軍事勢力でした。
僧侶のみならず児童の首までことごとく刎ねたといいます。
九月十二日、叡山を取詰め、根本中堂、山王二十一社を初め奉り、零仏、零社、僧坊、経巻一宇も残さず、一時に雲霞のごとく焼き払い、灰燼の地と為社哀れなれ、山下の男女老若、右往、左往に廃忘を致し、取物も取敢へず、悉くかちはだしにして八王子山に逃上り、社内ほ逃籠、諸卒四方より鬨声を上げて攻め上る、僧俗、児童、智者、上人一々に首をきり、信長公の御目に懸け、是は山頭において其隠れなき高僧、貴僧、有智の僧と申し、其他美女、小童其員を知れず召捕り— 信長公記
とあります。いちおう信長公記は第一級の史料です。この文章を読んで引っかかったのは、
其他美女、小童其員を知れず召捕り
この一文です。
なんでお寺に美女がいたんでしょうかね……。
小童もそういうことなのでしょうか?
当時の仏教はかなり腐敗していたのは間違いありません。
○長島一向一揆
1574年、信長は一向一揆の門徒たちの降伏をゆるさず、女子供を問わず処刑した。
○荒木村重
謀反を起こした荒木村重の一族郎党の婦女子122人を磔、鉄砲、槍・長刀などで処刑、
さらに女388人男124人を4つの家に押し込め、周囲に草を積んで焼き殺した。
『信長公記』ではその様を「魚をのけぞるように上を下へと波のように動き焦熱、大焦地獄そのままに炎にむせんで踊り上がり飛び上がった」と書いてある。
(このほかにも安土城の侍女たちを皆殺しにしたという話もあります。
侍女たちが城を留守にして外に出かけたら折悪しく信長が帰ってきた。もぬけの殻になっていた城をみた信長は激怒、侍女たちを縛り上げた上で、全て殺したといいます。
しかも侍女たちの助命嘆願を行った桑実寺の長老までも殺したといいます。
ただし、実際にはそのような虐殺はなかったと桑実寺の住職がいっていたと遠藤周作のエッセイに書いてありました)
じつはいい人だった?
その一方で、信長は農民に対して重税をかけなかったといいます。
家臣に対してはたいへん厳しく絶対的な服従を強いた信長ですが、領民に対しては気さくな一面がありました。少年の頃は身分にとらわれず若い連中と遊ぶ日々をおくっていました。庶民と共に踊ってその汗を拭いてやったりしたこともあるそうです。宣教師ルイス・フロイスも信長のことを親切だと言っています。
信長を取り上げている漫画・ゲーム
やはり一番有名なのは信長の野望でしょう。
累計1000万本を売り上げた日本一有名なゲームです。
日本の歴史ゲームといえばまずこのシリーズでしょう。
最近は『無双』シリーズの方が有名になっていますが、昔からのコーエーファンはこちらの方のシリーズを楽しみに待っていることでしょう。
小栗旬主演で映画化もされました。
しかし、これは厳密には信長の漫画といっていいものか……。
漫画や映画を見た方はすでにご存知だと思いますが、この信長は『織田信長』ではないのです。
サブローという高校生が戦国時代にタイプスリップして、信長として人生を過ごすというもの。
ガチ勢の歴史好きには物足りないかもしれませんが、少女漫画なので歴史初心者でも楽しめる作品となっています。
抜忍伝説
どの漫画やゲームでも英雄として描かれている信長ですが、この『抜忍伝説』では信長は徹底的に悪人で、しかも矮小な存在として描かれています。
ちなみにこのゲームは1988年に発売されたゲームです。
つまり約30年前のゲーム……!!
いまの世の中でこれを遊ぶのはきわめて困難なことでしょう。
なにしろPCゲームで、その対応機種がMSXやPC8801、PC9801などのWINDOWS以前のゲームなのです。
ゲーム性はさすがに今の時代からみると、やや見劣りするようです。
余談ですが、このゲームを製作した飯島健男氏(いまは飯島多紀哉氏)は『信長の野望』を製作した光栄の元社員です。
自分の元の会社の看板ゲームの主人公である信長を倒すというのが、なかなかの因縁を感じさせますね。
ちなみに……。
伊忍道
光栄もちゃっかり似たようなゲームを作っています。
1991年のことなので、『抜忍伝説』の方が早いですね。
主人公である織田信長がこのときばかりは敵ボスになっている。
最後になりますが、一つとびきりの怪作を紹介したいと思います。
志野靖史先生が1994年から1997年まで『週刊ヤングアニマル』にて連載した作品です。
織田信長が総理大臣となって日本を改革する話なのですが、これがまたぶっ飛んでいる。
第一回の所信表明にていきなり『鳴かぬなら殺してしまえホトトギス』と中指たてて絶叫。選挙では国会議事堂を爆破。自分を肖像にした一千万円札を作るわ、米国の大統領クリリントンに政略結婚を申し込むわ、そのクリリントンが強硬な要求をつきつけたところ忍者をホワイトハウスに忍び込ませ、寝ている間に裃に着替えさせるなどまさに戦国時代のノリ。
円高による深刻な不況も、
この一言で片付ける。
ギャグ漫画の宿命でもありますが、後半になってパワーダウンしたのが残念でなりません。
なお、志野靖史先生ですが朝日時代小説大賞を受賞し、歴史小説家としてデビューしています。
本当に多彩な才能の持ち主なんですね。
信長は永遠に愛される。
毀誉褒貶ありますが、ほとんどのゲームや漫画で信長は好意的に書かれています。
戦国時代を終わらせた信長の改革精神は、武士の世の終わった民主主義である21世紀の現代でも歓迎されています。
織田信長はいつの世でも愛されることでしょう。