かぐらの歴史エンタメ遊園地

歴史の面白い話を書いていこうと。

あの聖人孔子さまを誘惑した女? 南子【女たちシリーズ005】

 唐突ですが、つまらないアニメの紹介をさせてください。

 1995年、NHKで放送したアニメで「孔子傅」です。

 ネットで見つけて視聴したのですが、正直なところあまり頭に入ってきませんでした。『東周英雄伝』を原作としています。(ちなみにつまらないというのはアニメの方ですよ。『東周英雄伝』ではありません)

 

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(これだけ見ると面白そうなのですが……。

 ちなみにキャストは今では考えられないくらい豪華ですよ)

 

 というのも、ほとんど孔子さまの言行録『論語』の1エピソードにしか出てこない人物なんですよ。儒教の世界ですから女性のような艶めいたエピソードが乏しいのは仕方ないことです。ちなみに紹介すると、

 

 ※

 

 「子見南子、子路不説、夫子矢之曰、予所否者、天厭之、天厭之」
孔子が南子に謁見した。 

 子路は快く思わなかったが、
 孔子は「私にやましい所があれば、天これを私を嫌って見捨てるだろうよ)

 

 ※

 

 たったこれだけ。

 南子は衛の霊公の夫人で、淫らな女性だったと言われています。

 ただ噂が勝手に一人歩きしたという可能性もありますが、僕はそうでもないと思います。

 すくなくとも南子の夫の霊公は名君ではなかったでしょう。『霊』という文字がついている王様はたいていは暗愚ですから。

 さて、話は南子ではなくて孔子にもどりますが、南子に会うということで、弟子の子路が怒るわけです。子路孔子の弟子で一本気のある男ですから。

 そんな南子ですが、

 孔子を誘惑した……。

 などという悪い噂をたてられています。おそらく孔子の死後の話でしょうが。

 まあ、孔子の話を面白おかしくするためのデマなんでしょうけどね。

 孔子が拝謁したとき、南子は簾の向こう側で会釈しただけといいます。

 もしも南子が孔子を尊敬していたら、簾をあげてじかに会うに決まっています。

 にも、かかわらずどうしてこんなデマがでてくるのか……。

 孔子の人生って地味なんですよ……。

 真面目な方には申し訳ないけど、孔子の人生って、ドラマ化してもちっともつまらないと思うんですよ。

 四大聖人っているじゃないですか。

 孔子・釈迦・キリスト・ソクラテス

 のこりの三人はみんなドラマチックな人生を送っているのですが、孔子だけはさびれた町の洋服店のように地味で見栄えはしないんですよ。実用性は高いんだけど、華やかではない。

 だから南子が孔子に恋慕していたなどというデマが生まれたのでしょう。

 儒教関係の話を調べるとあまり艶めいた話はでてきません。

 儒学=お勉強ですからそりゃあ女性の話がでてこなくなるのは仕方がないことです。

 儒学そのものは使い方次第ではものすごく役にたつ学問です。治世のための学問ですから。いわゆる君子を育てるのには役にたちます。

 にしても、男尊女卑の傾向があるのは仕方ないところなのでしょうか……。

 儒学というのは女性をつまらなくする作用があるのでしょうかね?